「高配当株投資の罠」を小学生にもわかりやすく解説

2021年4月16日投資,経済

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バブルといわれながらも株価は上がりつづけ、投資を始める人も増えてきたかと思います。

なんか危険な兆候ニャ。

そんな中で、「高配当株に投資するのよさそうじゃない?」という人も出始めています。

高配当株というのは、配当金が高い株のことです。

たとえば1株5000円の株があったとして、これを買った人は配当金として500円もらえるとすると、10%のもうけ……になっているわけではありません

1円ももうかってません

えっ? なんでニャ?

これが配当金に対する勘違いなのです。

これからそのことについて話をします。

 

配当金は株価から出る

株には配当金の出る株と出ない株があります。

配当金の出る株は、年に何度か支払われることになります。

たとえば皆さんご存知の「ソフトバンク」だと、3月末と9月末ですね。

配当金もらえるなら、うれしいことなのニャ。

ただ、もうかるわけではないのです。

まず配当金が出るまでの仕組みを説明します。

権利付き最終日」まで株を持っていた人は、配当金を受け取る権利があります。

1日前に株を買っても、配当金がもらえるのかニャ?

もらえます

そして権利付き最終日の翌営業日を「権利落ち日(配当落日」といいます。

この日になると、配当金のぶんだけ株価が落ちます

えっ? どういうことニャ?

具体的には、1000円の株の配当金が100円だったら、株価は以下のようになります。

1000円 – 100円 = 900円

ちょっと待つニャ! これじゃ自分の株からお金が支払われてるだけなのニャ。

そのとおりです

配当金というのは、あなたの買った株から支払われているだけなのです。

1000円+100円=1100円ではないのです。

あなたの1000円の株は、100円分減って900円になるのです。

もうかっているわけではないといったのは、これが理由です。

 

配当金には税金がかかる

100円もらっても、1000円の株が900円になったら意味がないのニャ。

株価は変動しますので、そのあとに株価が上がる可能性があるかもしれません。

でも100円分は減ったのニャ。

そうですね。

900円になったあと、1000円に回復したとします。+100円ですね。

仮に配当金を出さなかったばあい、本来なら1000円の株が1100円になっていたわけです。

手元に100円が来ただけで、合計金額自体は変わってないのニャ。

じつは変わっています

100円を受け取ったということは、利益が100円出たということです。

株とおなじで、約20%の税金を払わなくてはなりません。

100円の20%は20円なので、手元に残ったお金は80円ですね。

株価が900円になったので、これに80円を足すと980円になります。

合計金額が20円減ってるのニャ。

つまり配当のたびに税金をとられるということになります。

これだったら配当金をもらわないほうがいいのニャ。なんのために配当金をもらうのニャ。

それを次で説明します。

 

配当株に投資する意味

配当金をもらっても、そのぶん株価は下がるので、トータルとしてみたら税金分だけ損します

仮に株価がずっと上がらなければ、そして配当金の金額がずっと変わらなければ、いずれ株価は0になってしまいます。

じゃあ、なんのために配当のある株を買うのニャ。

ようするに株価が上がることを見込んで買うのです。

野菜にたとえてみましょう。

たとえば地面からニョキニョキ伸びてくる野菜があるとします。

ある時期になると、収穫をするためにその野菜を10センチ切ります。これが配当金ですね。

野菜は食べてもいいですし、地面に植えて新しい野菜を育ててもいいでしょう。

次の収穫でまた野菜が伸びてくれれば、また10センチ切ることになるかもしれません。

伸びなければ、切る量を減らしたり、「切らない」と判断したりするかもしれません。これが減配・無配ですね。

野菜が伸びることに期待するしかないのニャ。

けっきょくは株価が上がることが重要なのです。

配当金の高さではないのです。

そのため、「高配当=ずっと安定してその配当が受けられる」わけではありません。

野菜が伸びなければ、切りようがないのですから。

つまり高配当でもクソ株を買ってはいけないということなのニャ。

投資信託の「毎月分配型」もこれですね。配当されたぶんだけ基準価格が下がります。

日本のばあい、「毎月分配型」は買ってはいけない投資信託の代表です。

とにかく手数料がエグイですね。

購入手数料が3%とかの世界です。

買った瞬間に3%下がるのニャ!

さらに毎年の投資信託管理手数料が2~3%とかのおそろしいものもあります。

毎年、無条件に2~3%減るのニャ! だれがこんなの買うのニャ!

そのあたりを証券マンはあまり説明しないので、お年寄りがだまされて買ったりします。「毎月おこづかいがもらえる」というセールス文句ですね。

とくにいまは株価が上がっていますからね。

お父さんお母さんがこの手の高コスト投資信託を買いそうになったときは、全力で止めてあげてください

投資信託を買うときは、まずは購入時の手数料毎年の管理手数料をチェックニャ。

 

見せかけの高配当とまとめ

高配当株だから毎年たくさんお金がもらえる」というのが間違いなのはわかったかと思います。

クソ株はどんどん株価が下がって、いずれ配当も払えなくなるのニャ。

高配当株を買う前には、まず配当金の推移を見たほうがいいですね。

毎年どんどん配当金が減っているばあいは、将来にわたっても減っていくと思ったほうがいいでしょう。

また今年だけ急に配当金が増えたばあい、たとえば自社ビルを売却した利益を分配しているだけかもしれません。当然、翌年にその配当金は払えません。

企業によっては、貯金を下ろして配当金を払っているところもあります。

収入だけでは配当金が払えない状態なのニャ。ヤバいニャ。

「企業が純利益からどれだけ配当金を払っているか」をあらわす「配当性向」という指標があります。

たとえば配当性向が50%だと、純利益の50%を株主に払っているということですね。

配当性向が低い企業は設備投資などをして自社を成長させようとしていることもあるので、配当性向が低いのが悪いわけではありません。

会社にお金を残さないといけないのニャ。株主にたくさん払ってたら成長できないニャ。

まずいのは、配当性向が高すぎるばあいです。

これが100%を超えるということは「純利益で払いきれていない」ということにもなります。

貯金下して払ってるのニャ。怖いニャ。

ちなみに配当性向は以下の式で計算できます。

配当性向(%)= 払った配当金の総額÷純利益×100

高配当を得つづけるためには、その会社が将来に渡ってずっと配当金を払い続けられるかどうかを見なければならないのです。

ようするにその会社がずっと業績を伸ばしつづけられるかということです。

会社という野菜が育たないと、配当金という収穫ができないのニャ。

そういうわけで、「高配当の株だから買う」というようなことをしないように注意したほうがいいかと思います。

大切なお金でクソ株を買ってはいけないニャ。