「高配当株投資の罠」を小学生にもわかりやすく解説
バブルといわれながらも株価は上がりつづけ、投資を始める人も増えてきたかと思います。
そんな中で、「高配当株に投資するのよさそうじゃない?」という人も出始めています。
高配当株というのは、配当金が高い株のことです。
たとえば1株5000円の株があったとして、これを買った人は配当金として500円もらえるとすると、10%のもうけ……になっているわけではありません。
1円ももうかってません。
これが配当金に対する勘違いなのです。
これからそのことについて話をします。
配当金は株価から出る
株には配当金の出る株と出ない株があります。
配当金の出る株は、年に何度か支払われることになります。
たとえば皆さんご存知の「ソフトバンク」だと、3月末と9月末ですね。
ただ、もうかるわけではないのです。
まず配当金が出るまでの仕組みを説明します。
「権利付き最終日」まで株を持っていた人は、配当金を受け取る権利があります。
もらえます。
そして権利付き最終日の翌営業日を「権利落ち日(配当落日)」といいます。
この日になると、配当金のぶんだけ株価が落ちます。
具体的には、1000円の株の配当金が100円だったら、株価は以下のようになります。
1000円 – 100円 = 900円
そのとおりです。
配当金というのは、あなたの買った株から支払われているだけなのです。
1000円+100円=1100円ではないのです。
あなたの1000円の株は、100円分減って900円になるのです。
もうかっているわけではないといったのは、これが理由です。
配当金には税金がかかる
株価は変動しますので、そのあとに株価が上がる可能性があるかもしれません。
そうですね。
900円になったあと、1000円に回復したとします。+100円ですね。
仮に配当金を出さなかったばあい、本来なら1000円の株が1100円になっていたわけです。
じつは変わっています。
100円を受け取ったということは、利益が100円出たということです。
株とおなじで、約20%の税金を払わなくてはなりません。
100円の20%は20円なので、手元に残ったお金は80円ですね。
株価が900円になったので、これに80円を足すと980円になります。
つまり配当のたびに税金をとられるということになります。
それを次で説明します。
配当株に投資する意味
配当金をもらっても、そのぶん株価は下がるので、トータルとしてみたら税金分だけ損します。
仮に株価がずっと上がらなければ、そして配当金の金額がずっと変わらなければ、いずれ株価は0になってしまいます。
ようするに株価が上がることを見込んで買うのです。
野菜にたとえてみましょう。
たとえば地面からニョキニョキ伸びてくる野菜があるとします。
ある時期になると、収穫をするためにその野菜を10センチ切ります。これが配当金ですね。
野菜は食べてもいいですし、地面に植えて新しい野菜を育ててもいいでしょう。
次の収穫でまた野菜が伸びてくれれば、また10センチ切ることになるかもしれません。
伸びなければ、切る量を減らしたり、「切らない」と判断したりするかもしれません。これが減配・無配ですね。
けっきょくは株価が上がることが重要なのです。
配当金の高さではないのです。
そのため、「高配当=ずっと安定してその配当が受けられる」わけではありません。
野菜が伸びなければ、切りようがないのですから。
投資信託の「毎月分配型」もこれですね。配当されたぶんだけ基準価格が下がります。
日本のばあい、「毎月分配型」は買ってはいけない投資信託の代表です。
とにかく手数料がエグイですね。
購入手数料が3%とかの世界です。
さらに毎年の投資信託管理手数料が2~3%とかのおそろしいものもあります。
そのあたりを証券マンはあまり説明しないので、お年寄りがだまされて買ったりします。「毎月おこづかいがもらえる」というセールス文句ですね。
とくにいまは株価が上がっていますからね。
お父さんお母さんがこの手の高コスト投資信託を買いそうになったときは、全力で止めてあげてください。
見せかけの高配当とまとめ
「高配当株だから毎年たくさんお金がもらえる」というのが間違いなのはわかったかと思います。
高配当株を買う前には、まず配当金の推移を見たほうがいいですね。
毎年どんどん配当金が減っているばあいは、将来にわたっても減っていくと思ったほうがいいでしょう。
また今年だけ急に配当金が増えたばあい、たとえば自社ビルを売却した利益を分配しているだけかもしれません。当然、翌年にその配当金は払えません。
企業によっては、貯金を下ろして配当金を払っているところもあります。
「企業が純利益からどれだけ配当金を払っているか」をあらわす「配当性向」という指標があります。
たとえば配当性向が50%だと、純利益の50%を株主に払っているということですね。
配当性向が低い企業は、設備投資などをして自社を成長させようとしていることもあるので、配当性向が低いのが悪いわけではありません。
まずいのは、配当性向が高すぎるばあいです。
これが100%を超えるということは「純利益で払いきれていない」ということにもなります。
ちなみに配当性向は以下の式で計算できます。
配当性向(%)= 払った配当金の総額÷純利益×100
高配当を得つづけるためには、その会社が将来に渡ってずっと配当金を払い続けられるかどうかを見なければならないのです。
ようするにその会社がずっと業績を伸ばしつづけられるかということです。
そういうわけで、「高配当の株だから買う」というようなことをしないように注意したほうがいいかと思います。