「国債」は買ったほうがいい?買わないほうがいい?ー利回りやインフレリスクについて
コロナ禍ではほとんど見なくなりましたが、一時期は銀行員が日本国債を売るために自宅訪問するようなことがありました。
日本国債は、筆者は買う意味がないとは思っています。理由はあとで説明します。
いっぽう米国債ですが、利回りが上がってきたことで、一部の株が売られるという事態になってきています。
米国債の利回りが高ければ、リスク資産である株を持つより、米国債を買ったほうが安全という考えからです。
アメリカが倒産しない限り、元本は保証され、利子も払ってくれます。
また自国の通貨による借金は、いくらしようと理論上はすべて返せることになります。このあたりはMMTについての記事を読んでください。
今回は国債について見ていきましょう。
そもそも国債とは?
国債とは、「国の債券」です。
ようは借金ですね。
国が国債を売ることによって、資金を調達することができます。
そして期限が来たら、利子を付けて返してあげます。
時期によって違いますが、個人向け10年ものだと基準金利×0.66になっています。
具体的には0.1%前後みたいな感じですね。
あおぞら銀行で普通預金するだけで0.2%ですから、国債買うよりも利率はいいですね。
銀行が倒産しても、1000万円以下のお金は保護されますし。
「銀行員の口車に乗せられて買ってしまった」という人が多いとは思います。
10年ものでしたら1.6%ぐらいです。
ただ変動していますから、この利回りが将来に渡ってつづく保証はありません。2018年ごろは3.0%まで行ったことがありますね。
ちなみに国債の利回りが高くなるということは、国債が売られているということにもなります。
国債の利回りよりもインフレ率が高ければ、国債を買う意味はなくなります。
そうなると国債は売られ、利回りが上がっていくことになります。
このあたりの債券の動きは、またべつの記事で説明します。
国債の利回り
日本国債について
ひと言で国債といっても、その種類はさまざまです。
個人向け日本国債のばあい、「3年」「5年」「10年」があり、それぞれ利回りが違います。
「3年」は「基準金利 - 0.03%」、「5年」は「基準金利 - 0.03%」で固定になっています。
「10年」のばあいは、前述したように「基準金利×0.66」で変動します。年に2回利息が受け取れますが、そのときそのときで金額が変わります。
金融資産が何十億とかあるのでしたら、安全に増やせるのでいいかもしれません。
すでにたくさんお金を持っている人は、増やすよりその資産をいかに守るかを考えますので。
日本国債に関してはそうですね。
米国債について
米国債のほうですが、利回りがいいので、検討してもいいレベルになっています。
アメリカが潰れたらそもそも世界も終わってますし、銀行あずけるよりはましな選択肢でしょう。
普通に楽天証券とかで買えます。筆者も「銀行に置くよりまし」という理由でちょっと持ってます。
ちなみに米国債には種類があり、利息が定期的に支払われるもの以外に、「ストリップス債」というのがあります。
「Separate Trading of Registered Interest and Principal of Securities」を略して「STRIPS」としたものです。
これは元本と利息を切り離し、元本部分だけを販売したものです。
つまり利息はもらえません。
利息はもらえませんが、その代わり、保有期間中に発生する利息は元本に組み込まれます。
つまり元本が100ドルで、3%の利息の3ドル受けとるときに、103ドルになるのです。
その次はその103ドルの3%……というふうに、複利効果が効いてきます。
これがけっこう馬鹿にならなかったりするので、下手に株を買って元本を減らすより、安全な米国債に投資するという人は少なくありません。
とくに莫大な資産を持っている人は、米国債を買っていくことでさらに資産を増やすことができるでしょう。
ただ問題は為替ですね。
ドル受け取りですから、これを円に換えたときに損するばあいもあります。
受け取ったドルは日本円にせず、自分のタイミングで日本円に変えるのがいいかと思います。
国債の問題点とまとめ
一番の問題は、やはりインフレに対応できないことでしょう。
たとえば国債を10年持ち続けて利息を受け取ったとしても、利回り以上の速度でインフレが進んでしまっては、基本的にお金は増えたことにはなっていません。
むしろ価値としては減っています。
株のように元本部分が育ったりはしないので、成長のしようがないのです。
現金をそのまま持っているよりはましですが、資産を増やしたいという目的からするときびしいものがあります。
国債のばあい、どれだけ増えるかは予測がつくので、元本を減らしたくないという人向けですね。
あと「仕組債」という債券のふりをした危険な投資商品もあるので、いまの時期はとくに注意してください。詳しくは以下の記事を参照。米国債については次回もう少しくわしく話します。