「テーパリング」を小学生にもわかりやすく解説|経済

小学生にもわかるシリーズ,投資,経済

tapering

今回は「テーパリング(量的緩和策の縮小)」について述べていきます。

なんか難しそうな話だニャ。

「Taper」というのは、そのまま訳すと「先細り」の意味になります。

簡単にいえば、「中央銀行が金融資産の買い入れを減らしていく」ということです。

やっぱりなんかよくわからないニャ。買い入れを減らすとどうなるニャ?

うまくやらないと、株価が暴落したり、経済が停滞したりします。

現在、世界中の株価が落ちてきているのは、アメリカがテーパリングを始めることへの警戒感からだといわれています。

今回はテーパリングと、その前提となる量的緩和策についてわかりやすく解説していきます。

 

量的緩和策とは?

「量的緩和策」とか、名前がなんか小難しいニャ。

量的緩和策は「量的金融緩和政策」ともいいます。

英語ではQE(Quantitative Easing)と書きますね。

量的緩和策は、景気が悪くなったときにおこなう政策です。

景気が悪いと、政府や企業が資金不足におちいります。

そこで中央銀行が国債や社債、株式、リート、MBS(住宅ローン担保証券)などの金融商品を購入することで、現金を政府や企業にどんどん流していきます。国債については以下の記事を参照してください。

2008年からのリーマンショック以降、日本やアメリカ・ヨーロッパなど各国は、経済の立て直しをはかるために金融緩和政策をおこなってきました。

ようは、定期的に金融商品を買い付けるということをしたのです。

日銀(日本銀行)がETF(上場投資信託。株式の詰め合わせ)を買って株価を釣り上げているのがこれなのニャ?

そうですね。

また中央銀行は政策金利を引き下げ、お金を借りやすいようにします。

金利3%で借りるより、1%で借りたほうが返すときは楽ですからね。

これが行くところまで行くと、金利を0%に近くする政策、すなわちゼロ金利政策にまでたどり着きます。

なんかニュースで聞いたことのある単語ニャ。

ほぼゼロに近い金利になったことで、お金がさらに借りやすくなったのですが、それでも景気はあまりよくなりません。

そこでゼロ金利政策をさらに超えたマイナス金利政策にまで踏み込むことになります。

マイナス金利って、お金を借りるとお金がもらえるということなのかニャ?

そういうことになってしまいますね。

逆に銀行にお金を預けていると、それは銀行にお金を貸したことになりますので、お金を取られることになります。

どんどん預金が減るのニャ。

マイナス金利政策は個人相手のものというより、金融機関が中央銀行に対してお金を預けないようにするためのものですね。民間にお金を流すようにうながすものです。

ただ金利が低くなると、銀行預金の年利も低くなります。

大手銀行だと、1年あずけても0.001%とかふざけた金利ニャ。

銀行も、お金を貸してもたいしてもうからないので、うまみのない政策といえます。

金融機関からすると、経営が厳しくなる要素なのニャ。

つぎにテーパリングについて述べていきます。

 

テーパリングとは?

金融緩和によって市中にお金がたくさん出まわれば、景気もよくなっていきます(実際はそう単純ではなかったりしますが)。

しかしいつまでもお金を払いつづけて金融緩和をおこなうわけにはいきませんので、どこかの段階で金融商品の買い入れを減らしていかなければなりません。

これがテーパリングです。景気が回復している状況でやるものですね。

MMT(現代貨幣理論)だと、お金はいくら刷ってもいいのニャ。

MMTについては、筆者は懐疑的なので、ここでは論じないことにします。詳しくは下の記事を参照してください。

今回、コロナ禍によって景気が悪くなってしまったため、アメリカや日本は大規模な金融緩和に乗り出しました。

そのことでお金が市中にジャブジャブと流れ、株価が上がりまくるという状況になってしまいました。

コロナで不景気なのに、株式市場は調子が良かったのニャ。

とくにアメリカの代表的な株価指数であるS&P500が過去最高値を更新しつづけるなど、バブルのような状況でした。

ワクチンが完成し、コロナ禍を抜けだせる見通しが立ったことから、アメリカではテーパリングをおこなおう議論がはじまっています。

具体的な懸念点は、テーパリング後に金利を上げることですね。

しかし金利が上がるということは、お金が借りにくくなるということになります。

そのためテーパリングは、やり方を間違えると、景気を悪化させかねません。

まだ景気が回復したとはいえないニャ。テーパリングを急ぐのは危険な気もするニャ。

コロナ禍の経済は、ネット業界など一部の業種は上向きに伸びていく一方、飲食業・交通などは下がっていくといった、勝ち組・負け組が鮮明になった「K字型」の形になっています。

飲食店はお金が必要ニャ。金利が上がったら、ますますお金が借りにくくなるニャ。

ただアメリカのほうは、年内にはテーパリングの時期を決定するようです。

株式市場のほうはバブル相場みたいなものなので、下がるというよりかは、正常な価格に戻っていくと思われます。

これまでが上がりすぎたのニャ。

しかしテーパリングの結果によっては、経済が本格的に悪化する可能性もあり、株価が暴落するかもしれません。

そのため、手持ちの金融商品をいったん現金化する動きが出てきており、それが株価などを押し下げてしまっています。

安くなったところでまた買い戻すのニャ。

そううまくいくものでもありませんけどね。

しかししばらくは、値動きのあらい株価が続くと思われます。

 

まとめ

テーパリングによる株価暴落は、これから投資をはじめる人には、逆によい相場になる可能性もあります。

そのため、いまは下手に金融商品に手を出すよりは、現金比率を高めておくのがいいかと思われます。

でももう株価下がってきているから、株を売ろうにも手遅れ気味なのニャ。

長期投資のばあいは、よけいなことはせずに保有しておけばいいかと。

毎月積み立てをしている人は、そのまま継続でOKかと。その場の判断で買ったり売ったりするのはやめたほうがいいでしょう。