「外国税額控除」を小学生にもわかりやすく解説ー米国株・ETFで取られた外国税を取り戻す方法
米国株や米国ETF(株式の詰め合わせパック)を購入し、配当金をもらうときに、アメリカで10%の税金が取られ、さらにその残りかの金額から日本でも20.315%(所得税15.315% 住民税5%)の税金を取られます。
つまり配当金が100万円のばあい、まずアメリカで10万円とられて90万円。
さらに日本で20.315%とられて71万7165円になってしまいます。
しかし日本とアメリカの取り決めにより、片方の国で税金を払ったら、もう片方の国では税金を払わなくてよいというルールがあります。
つまりこの状態は、二重課税してしまっているということですね。
そうですね。そのため、アメリカで取られたぶんをとりかえすのが「外国税額控除」です。
そんなに戻ってきませんが、確定申告すればそこそこ戻ってきます。
まあ、本当にそこそこですね。期待するほどは戻ってこないというか。
今回は、確定申告でどうやったら外国税が戻ってくるかについて。これはアメリカだけでなく、他の国にも適応することができます。
また日本株で得られた配当金も一緒に「総合課税」で申告すると、課税所得が900万円以下のばあい、税金の一部がもどってきます。
なぜなら、配当金にかかる20.315%は「所得税15.315%、住民税5%」になっており、課税所得が900万円以下の人にとっては所得税15.315%は払い過ぎだからです。
日本は累進課税なので、所得に応じて所得税は大きくなっていきます。900万円以上になると、配当所得は約23%(累進税率33%―配当控除10%)になるため、申告しないほうが得なのです。
逆に900万円以下のばあいは、申告したほうが得になります。
具体的には以下のようになります。総合課税のばあい「配当控除」が受けられます。それと外国株には配当控除は適応されないので注意してください。
課税所得 | 所得税 | 配当控除 | 税率 |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 10% | 0% |
195万円超~330万円以下 | 10% | 10% | 0% |
330万円超~695万円以下 | 20% | 10% | 10% |
695万円超~900万円以下 | 23% | 10% | 13% |
900万円超~1,000万円以下 | 33% | 10% | 23% |
1,000万円超~1,800万円以下 | 33% | 5% | 28% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 5% | 35% |
4,000万円超 | 45% | 5% | 40% |
払わないわけではなくて、確定申告したばあい、配当金が所得の一部としてあつかわれるのです。
だからすでに徴収された15.315%は二重課税になってしまいます。それを払わなくていいということですね。
そこで「住民税の申告不要制度」を利用します。
すでに「住民税5%」を払っていますので、あとは役場に「住民税の申告不要」の届け出をするだけです。すでに住民税を払ったことを証明することで、払わなくてすみます。払ったら二重課税になりますしね。
それでは説明していきましょう。
外国税額控除について
まずは所得を計算
前述したように、米国株や米国ETFの配当金を受けとると、アメリカで10%、日本で20.315%の税金がとられます。
そうですね。
そのため、アメリカで取られたぶんを取り返すのが「外国税額控除」です。
確定申告をしなくてはなりません。
自営業の方は毎年申告しているはずなので、いつもと同じように書き込んでください。
会社員など給与所得の方は源泉徴収票を用意してください。それで国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用して、まずは源泉徴収票を入力していってください。
画像付きでやり方が説明されていますので、それに従うだけです。
配当所得を入力(日本株の配当金も)
終わったら、つぎは「配当所得」という欄です。課税方法ですが、課税所得が900万円以下であれば「総合課税」を選んでください。
そののち、証券会社ごとの配当金を入力(記入)していきます。金額は、証券会社が交付している「特定口座年間取引書」を見ればわかります。
日本株と外国株は入力欄が違いますので注意してください。また日本株は配当控除入力を忘れずに。
外国税額控除の入力
最後に、「外国税額控除」の入力です。
国税庁の確定申告書等作成コーナーのばあいは、必要事項を入力すると勝手に計算してくれます。
自力で計算すると面倒ですが、だいたいどれぐらい戻ってくるかというと、
取られた税金×累進税率
です。
たとえば配当金を1000ドル受け取ったら、10%の100ドルをとられます。
ざっくり計算ですが、課税所得が330万円超~695万円以下のばあい、累進税率は20%なので、
100 X 0.2 =20ドル
戻ってきます。
頑張って4,000万円超になれば、税金は45%なので、半分ぐらい戻ってきますね。
そういうことですね。
住民税の申告不要制度
確定申告後におこなうものです。
総合課税を選択したばあい、住民税は10%です(配当控除のばあいは7.2%)。
これだと、配当金ですでに取られている住民税5%のほうが有利ですよね。
そこで、
「もう払ったから、新たに払わない」
ということを役場に申告します。これが「住民税の申告不要制度」です。
これは市役所にいって、「住民税の申告不要制度の用紙ください」といえばくれます。
もしくは市役所のホームページなどで、PDFでダウンロードできるので、それを印刷して記入してください。
市役所に行くときには、上記の用紙以外にも、以下のものが必要です。
・確定申告書の控え(コピー)。
・特定口座年間取引報告書など、配当金の受け取りを証明できるもの。
・印鑑と本人確認書類。
なにか足りなければ役場の人が親切に教えてくれますので、緊張しなくても大丈夫です。
納税通知書が届く前に提出してください。確定申告が終わったら、さっさと提出したほうがいいですね。
これをやらないと、住民税だけでなく、国民健康保険料も上がるので、かなり注意が必要です。
まとめ
米国株の外国税だけでなく、日本株の配当金で取られた税金も戻ってくる(課税所得900万円以下であれば)「総合課税」。国税庁のホームページから確定申告すれば、面倒な計算も不要です。
また今年の確定申告をデータとして残しておけば、来年はそれを利用しておなじようにやるだけなので、手間はかなり省けるでしょう。
面倒なことといえば、市役所に提出する「住民税の申告不要」の届け出でしょうか。これもじっさいにやってみればたいした手間ではありません。
ただ出し忘れると、住民税に加えて国民健康保険料もアップするので、総合課税で確定申告したのであれば、かならず提出してください。