贈与税を小学生にもわかりやすく解説

2021年4月16日小学生にもわかるシリーズ,確定申告,税金

gift tax

以前、「遺産相続税」についての解説記事を書きましたが、今回は贈与税です。

親からお小遣いをもらっている人も多いと思いますが、金額によっては税金がかかります。

小学生が心配する必要ないニャ。

税金がかかるのは、お金を受け取ったときだけではありません。

不動産など財産価値のあるものを受け取ったときにも、税金は発生します。

親から金の延べ棒をもらったばあいも、贈与とみなされて税金を払わなければなりません。

お小遣いに金の延べ棒をもらっても、買い物するのに不便ニャ。

今回は贈与税について見ていきましょう。

 

暦年課税について

暦年課税とは?

知っている小学生も多いとは思いますが、税金を払わずに一年間に受け取っていい贈与額の合計は110万円です。

小学生はそんなこと知らないニャ。というか興味ないニャ。

110万円以下でしたら非課税です。

ただし110万円を超えたばあい、その金額から110万円をひいたぶんに対して税金がかかります。

この課税方法を「暦年課税」といいます。

税金はいくら払うの?

110万円を超えたぶんに対して支払う税金ですが、金額によって変わります

また贈与をおこなった方たちの家族関係によっても変わります。

20歳以上の直系の子どもや孫が贈与を受けたばあい、「特例税率」が適応されます。一般のばあいに比べて税金が安くなりますね。

子どもが20歳未満だったらどうなるのニャ?

そのばあいは「一般税率」になりますね。普通の贈与税を支払うことになります。

夫婦や兄弟間も一般税率なので注意してください。

つぎに税率を見ていきましょう。

一般税率

受け取った金額から110万円をひいた金額が、

200万円以下なら10%
300万円以下なら10万円を引いた金額の15%
400万円以下なら25万円を引いた金額の20%
600万円以下なら65万円を引いた金額の30% 
1,000万円以下なら125万円を引いた金額の40% 
1,500万円以下なら175万円を引いた金額の45%
3,000万円以下なら250万円を引いた金額の50%
3,000万円超なら400万円を引いた金額の55% 

になります。

210万円うけとったら、

210万円ー110万円=100万円

これの10%なので、税金は10万円ですね。

けっこう高いのニャ。

1500万円超になると、250万円を引いた金額の50%になりますからね。

税金で半分取られるのニャ。

特例税率

おなじように110万円を引いた金額が、

200万円以下なら10%
400万円以下なら10万円を引いた金額の15%
600万円以下なら30万円を引いた金額の20%
1,000万円以下なら90万円を引いた金額の30%
1,500万円以下なら190万円を引いた金額の40%
3,000万円以下なら265万円を引いた金額の45%
4,500万円以下なら415万円を引いた金額の50%
4,500万円超なら640万円を引いた金額の55%

になります。

ちょっとだけ有利ニャ。ただ200万円以下はおなじ10%ニャ。

金額が多いばあいはちょっと有利ですね。

これらの情報は国税庁のホームページで見ることができます。

計算例もあるので参考にするといいでしょう。

 

相続時精算課税について

暦年課税以外に、「相続時精算課税」というのものがあります。

これは2500万円まで非課税というものです。

そして2500万円を超えたぶんに関しては、一律20%の税金がかかります。

こっちのほうが絶対いいニャ。有利すぎるニャ。

ただしこれは相続税の一種です。

贈与者が亡くなったときに、贈与した金額と、相続財産の金額を足し合わせて、相続税としてまとめて支払わなくてはなりません。

ようするに、「あとで一括して相続税として納めてね」という制度ですね。

けっきょく相続税を払うのニャ。2500万円以上だと、20%分の税金が損ニャ。

払った税金ですが、相続税申告のときに控除対象になります。

そうなると、けっきょくはただの相続遺産の前借りなのニャ。

まあ、そうですね。

相続遺産の一部をさきに受け取って、あとでまとめて清算しているだけなので、得することはないです。

110万円以下なら、ふつうに暦年課税で受け取ったほうがいいでしょう。

ちなみに相続時精算課税と暦年課税は、どちらかしか選択できません

「2500万円以下なら無税でお得」と早合点しないようにしてください。

相続時精算課税の条件ですが、直系の子や孫に対し、贈る側の年齢が60歳以上で、受け取る側の年齢が20歳以上でなければなりません。

 

贈与税がかからないもの

家の生活費や子どもの教育費など、常識的に必要なものは、基本的には贈与税の対象外になります。

お年玉や香典、見舞金なども、よっぽどの金額でないかぎりは、常識的に贈与税はかかりません。

あくまで常識的な範囲内ですね。

受け取った生活費を貯金したり、投資にまわしたばあいはどうなるのニャ?

目的のために使っていないぶんに対しては、贈与税の対象です。

そもそも投資は生活費でやるものではありません

それと特例として、結婚・子育て・教育に関する一括贈与に対しては、税金が優遇されます。

ただし、期限がありますので注意してください。次にその説明をします。

結婚・子育て資金の一括贈与

この特例制度は、平成27年4月1日から令和3年3月31日までが対象です。

もうすぐ終わりなのニャ。

対象ですが、結婚・子育て資金20歳以上50歳未満の方が、両親・祖父母から一括贈与されるばあいです。

結婚は300万円まで、子育ては一人1000万円までが非課税です。

けっこういい制度ニャ。少子化対策のためにも、こういう制度はどんどんやるべきニャ。

ただし前年の所得が1000万円を超えるばあいは、この制度は利用できません。

金持ちはお断りなのニャ。でも所得1000万円といっても、実際は税金と保険で半分ぐらいもっていかれるニャ。

それを考えると、もう少し条件をゆるくしてもいいとは思いますね。

詳しくは国税庁のホームページを参照してください。

教育資金の一括贈与

教育資金のほうですが、30歳未満の子ども一人につき1500万円までが非課税です。

ただし塾や習い事といった学校以外の教育に関しては500万円までです。

それと子どもが30歳を超えたときに贈与金を使い切っていなかったばあい、残った金額に対して贈与税が発生します。

ニャンと!

これも詳しくは国税庁のホームページを参照してください。

それと注意点ですが、これらは金融機関の営業所などを通して非課税申告書を提出しなければなりません。

申告しないと非課税にはならないのニャ。

このあたりは金融機関に相談するといいでしょう。

 

まとめ

ここまでをまとめると、以下のようになります。

・贈与税には「暦年課税」「相続時精算課税」の2種類がある。

・「暦年課税」は、110万円までの贈与は非課税。超えるぶんに対して税金がかかる。

・「暦年課税」の税率には「一般税率」と、20歳以上の直系の子どもや孫が贈与を受けたばあいの優遇税率である「特例税率」がある。

・「相続時精算課税」は、直系の子や孫に対し、贈る側の年齢が60歳以上で、受け取る側の年齢が20歳以上のばあい、2500万円まで無課税超えるぶんに対して一律20%の課税。
ただしこれは相続遺産の前借りでしかなく、贈った側が亡くなったときに、贈与分と相続遺産を足し合わせて相続税を払わなくてはならない(すでに支払った20%分の税金は、相続税から控除される)。

結婚・子育て資金の一括贈与は、20歳以上50歳未満の方が両親か祖父母から、結婚は300万円まで、子育ては一人1000万円までが非課税(平成27年4月1日から令和3年3月31日まで。金融機関で非課税申告書の提出が必要)。

教育資金の一括贈与は、30歳未満の子ども一人につき1500万円までが無課税(学校以外の教育は500万円まで)。期間と申告書提出は上記「結婚・子育て資金の一括贈与」と同様。

制度をうまく使ったほうがいいのニャ。ただ期限がせまってるニャ。

今後、新しい特例制度が出てくるかもしれませんので、子育て世代の方は注意しておいたほうがいいでしょう。利用できる制度は利用しないと損ですしね。

国がもっと子育て世代を支えるべきなのニャ。