「iDeCo(イデコ)」のデメリットをわかりやすく解説
日本の年金もいよいよヤバくなり、「もう自分で稼げ」といわんばかりに登場した個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」。
「個人型確定拠出年金制度」の英語である「individual-type Defined Contribution pension plan」の文字を取って「iDeCo」になっています。
毎月iDeCoで積み立て投資をすることで、そのぶんが確定申告時に全額所得控除対象になります。
自営業で収入が多い人にとっては、この控除額がけっこう馬鹿にならなかったりします。
さらに運用益も全額非課税と、投資をやるなら利用しない手はありません。
それもありますけど、もっと根本的な問題点もあります。
「安全のために、元本保証型の定期預金に入れて運用すればいい」という人もいますが、基本的に口座管理のための費用があるので、毎年お金は減っていきます。
そのため、収入が少なく節税効果がない人は、増やす方向で運用しないと、ひたすらお金が減っていくという状態になっていきます。
投資信託を買うときの注意点も含め、今回はiDeCoのデメリットについて猫でもわかるように述べていきます。
そもそもiDeCo(イデコ)とは?
iDeCoはわかりやすくいうと、毎月一定の金額を積み立てて投資していくことで、満期になる60歳以降に受け取ることができるという制度です。
厳密にいうと、加入年数によって受け取り期間が最大で65歳まで延ばされてしまいますが、ここではそれは考慮しないことにしましょう。10年以上積み立てを続けていれば、60歳以降から受け取れると思ってください。いちおう以下に、受け取り時期の一覧を並べておきます。
60歳以上61歳未満:10年
61歳以上62歳未満:8年
62歳以上63歳未満:6年
63歳以上64歳未満:4年
64歳以上65歳未満:2年
65歳以上:1月
それで受け取り時に、投資の利益が出ているばあい、通常は20%の税金がかかりますが、それが無税になります。
また積み立て時には、その金額が確定申告時に全額所得控除対象になります。
自営業だと最大で月68000円まで積み立て可能なので、収入が多い人には節税メリットは大きいでしょう。
年間で最大68000×12=816000円の所得控除が受けられます。
基本的にはそうですね。現金化されて渡されます。
それについて、つぎの章で話をしましょう。ここがけっこうギャンブル要素のあるところです。
iDeCoの受け取り方と注意点
iDeCoの受け取り方ですが、
一時金で一気に受け取るか、
年数回に分けて受け取るか(5年以上20年以下の期間。いわゆる年金受取)
を選べます。
一時金で一部受け取り、残りを年金(5年以上20年以下の期間)にして受け取るという併用も可能です。
受け取り時期ですが、最大で70歳まで引き伸ばすことができます。
つまり60歳の時点で暴落していたら、受け取らずに、値段が回復してきたときに受給をはじめればいいのです。
まあ、そうですね。
そこがギャンブル要素ですね。期限がなければホールドという手もあるのですが、iDeCoではそれができません。
さらにいうと、投資の利益に税金はかかりませんが、一時金や年金を受け取ったときには税金がかかります。
ちなみに、
一時金での受け取りは退職金の税金(退職所得控除)
年金受け取りはふつうに年金の税金(公的年金等控除)
がかかります。
iDeCoの加入期間が20年以下だったら、40万円に年数をかけた金額が控除されます。
10年加入していたばあい、40万円X10ですから400万円になりますね。
たとえば一時金として500万円受け取ろうとすると、
(500万-400万)=100万円
これをさらに2で割った金額が退職所得となります。
つまり所得であるこの50万円に対して税金がかかります。
累進課税だと50万円の税金は5%ですから、2.5万円ということになります。
加入期間が20年以上だと控除額はちょっと複雑になって、
800万円 + 70万円 × (加入年 – 20年)
という式になります。先ほどとおなじく、この計算の答えを一時金で受け取る額から引いて、2で割ったものが退職所得になります。
さらにいえば、受け取り1回に対して440円の手数料がかかります。
年金として年に12回うけとったら、それだけで440×12=5280円ですね。
あとiDeCoの口座には管理費がかかります。年間でだいたい2000円ぐらいです。
iDeCoの受け取りを遅らせれば、そのぶんだけ毎年管理費がかかってきます。
またiDeCo加入時にも加入手数料として3000円近く取られますね。
ふつうの公的年金とおなじで、
65歳未満で受け取るばあいは控除額が60万円、
65歳以上で110万円
が控除されます。
このあたりの受け取り方をちゃんと計算しておかないと、iDeCoは損をすることがあるので注意が必要です。
受け取り方の計算は、本当にしっかりやっておきましょう。
投資信託購入時の注意
iDeCoをやるうえで、なにに投資するかは重要です。
前述したように、DeCoは毎年、2000円ほどの口座管理費を払わなければなりません。
節税分で元を取れていればいいのですが、収入が少なくて節税効果がないばあい、定期預金などの元本保証的なもので積み立てを続けていると、毎年お金がマイナスになっていきます。
さらにいうと、投資信託にも管理費(信託報酬)があります。
たとえば管理費用が1%のばあい、無条件に毎年1%ずつお金が減っていきます。
あなたの元本が増えようと減ろうと、毎年1%ずつ減っていくのです。
そのため、投資信託を買うときに一番見なければならないのは信託報酬です。
安ければ安いほどいいです。
アクティブファンドは基本的に信託報酬が高いので、避けたほうがいいでしょう。
なぜ高いかといえば、ファンドマネージャーがいろいろ調べて株を買っているからです。
こいつの給料が高いのです、無能であっても。
もう一度繰り返します。無能であってもしっかり信託報酬はとっていきます。
「損しようが得しようが信託報酬でもうかるし、ぶっちゃけ人のカネなんか知ったこっちゃない」
というていどのリスクで運用しているので、まあアクティブファンドが勝てる確率は低いですね。
いっぽう、インデックスファンドですが、日経やS&P500など決まった銘柄をルール通りに買っていくだけなので、信託報酬は安いです。
とくに調査したりとかも必要ありませんので、ファンドマネージャーが腕を振るうこともありません。ファンドマネージャーが有能でも無能でも関係ないのです。
そのため、長期投資にはインデックスファンドを買ったほうが有利というのは、この信託報酬の安さがあります。
投資信託購入のポイントは2点で、
・インデックスファンドで、
・できるかぎり安い信託報酬
のものを選ぶといいでしょう。
NISA(ニーサ)という選択肢
iDeCoによる節税効果があまり期待できない方、資金がじゅうぶんでない方は、NISA(ニーサ)という選択肢もあります。
積み立てNISAなら、年に40万円までを最長20年投資することができます。利益に税金はかかりません。
いえ、現金にしなくても大丈夫です。
保有している投資商品は、一般口座か特定口座に移されます。
そのままキープし続けてもOKですが、キープ中に利益が出たばあいは、そのぶんに税金がかかります。
さらに新たな積み立てNISA口座を開くことができるので、また20年投資をすることができます。ただしこれは別枠の口座なので、以前の口座の積み立てを新しい積み立てNISA口座に移すことはできません。
それとiDeCoは60歳まで引き出せませんが、NISAはいつでも現金化OKです。
口座管理費もだいたいの証券会社が無料ですし、売買手数料も無料ですね。
NISAは確定申告におけるiDeCoのような節税効果がないので、節税を狙いたい人はiDeCoのほうがいいでしょう。
積み立てじゃないほうは年120万円まで投資できます。最長5年までです。
ロールオーバーといって、さらに5年の非課税枠に移すことができます。ここは積み立てNISAよりいい点ですね。
ただ注意したいのは、投資可能期間には期限があることです。
投資可能期間ですが、
積み立てNISAは2037年まで
NISAは2023年まで
です。
日本政府が延長するかもしれませんが、いまのところはこの予定です。
長期投資をしたかったら積み立てNISAがいいでしょう。
まとめ
iDeCoは節税効果もありますが、口座管理費用や受け取り時に発生する税金もあります。
基本的に元本が増えなければ、毎年口座のお金は減っていくものと思ってください。
それと受け取り時も1回400円の手数料がかかるので、受け取り回数は少ないほうがいいでしょう。
受け取り時にいくらの税金や手数料がかかるか、ちゃんと計算しておく必要があります。
あと70歳まで受け取りを引き伸ばせますが、70歳が限度なので、それも注意が必要ですね。
自営業だと、口座管理費が必要のない国民年金基金に投資するというのも一つの手段でしょう。
いくら受け取れるかもあらかじめ決まっていますし、節税効果もiDeCoとおなじなので、自分で投資信託を買うよりはリスクが少なくて済みます。
終身年金(死ぬまで受け取れる)というのも大きいですね。
デメリットとしては、投資信託と違ってすごく増えたりはしないので、インフレに弱いことでしょうか。
貯金に余裕があれば、あるていど分散して投資するのがいいかと思います。