「現代貨幣理論(MMT)」とは?小学生にもわかりやすく簡単に解説ー税金は必要ない?トンデモ理論?
一時期話題になっていた現代貨幣理論ですが、今回はその内容を小学生にもわかりやすく解説します。
現代貨幣理論は、英語では「Modern Monetary Theory」といい、「MMT」と略されます。本記事でも「MMT」と書きます。

けっこう批判の多い理論ですし、筆者も「それどうなの?」と思いますが、とりあえず見ていきましょう。
現代貨幣理論(MMT)とは?
すごく簡単にいうと、
自国のお金はいくらでもつくりだせる。
↓
インフレにならないかぎりは、自国のお金をいくらでも発行してよい。
↓
国はお金をどんどん使って、経済をまわしていったほうが発展する。

刷りまくれというわけではなく、インフレ率を基準に調整すればいいということです。
インフレにならないかぎりは、お金を刷りまくっても大丈夫ということにもなりますね。
現在のお金は、「銀投資」の記事でも述べたように、金本位制から変動相場制になりました。詳細は以下の記事を読んでください。
変動相場制においては、金(ゴールド)のような基準になるものがないので、理論上はお金をいくらでもつくりだせるようになりました。

「インフレにならないかぎりは」という条件がつきます。
つまりインフレ率をにらみながら国の支出をコントロールするという理屈ですね。
たとえば日本は2%のインフレ率を目標にしていますが、2020年は-0.06%でした。

詰まるところ、「まだまだお金を刷りまくっても大丈夫」という話になりますね。
そもそも日本は借金しまくっています。
どれだけ借金しているかといえば、2020年はGDP(国の経済規模)に対して2.5倍近くという規模です。
あのイタリアですら1.5倍なので、どれだけ借金にまみれているかはわかるでしょう。
先進国のなかではトップレベルの借金大国です。
しかしインフレ率は、前述したようにマイナスです。
そして日本の借金は、自国通貨での借金です。
MMT的には、まだお金を刷る余裕はあるということになります。

インフレになったらなったで、税金を増やしたりしてインフレをおさえこむということをして調整します。
そして国はいくらでもお金をつくりだせるので、理論上は国の通貨での借金はデフォルト(国家破綻)にならないということにもなります。
アメリカなど外国からお金を借りたら返さないといけません。
しかし自国の通貨はいくらでもつくりだせるのですから、いくら借りようがかならず返せますよね。

お金をつくりだせるのですから、「国債を自国民に売ってお金を借りる」ということも、理論上はしなくていいことになります。
ただ金利調整のために、国債の発行は必要としています。
MMTの目的
そもそも税金は必要ではない

国がお金をいくらでも生み出せるなら、わざわざ国民からお金を集める必要はないという批判ですね。
筆者もそう思いますが、MMTの考え方だと、あえて税金をとることで、通貨の流通性確保と、前述したインフレ抑制をおこなうことができるとのことです。

財源はつくりだせますので、税金は流通性とインフレ抑制目的ということになります。
それと国がお金をつくりださないと、誰も税金を払えませんよね。
つまり国は本来、税金は必要ないことになります。

しかし現実問題、国の支出は税金だけでまかないきれていませんよね。
だから借金しているのですし。
たとえば2020年の日本の国家予算は約103兆円ですが、3分の1は借金でまかなっています。
そしてこの借金は、国債や地方債という形でつくりだしたお金です。
ある意味、すでに税金が必要ない状態にはなってしまっているのです。
財政政策の一つの形
MMTの目的というのは、国の財政を通じて経済に影響をあたえるという「財政政策」的なものとなります。

その大金は、インフレにならないかぎりは、いくらでもつくりだせます。
MMT的には、「国がどんどんお金を使って、財政政策をやりましょう」ということになります。
就労保証プログラム
MMTの目標として、「就業保障プログラム」というのがあります。
「国が一定の賃金を払って、就業したい人たちを全員雇う」というものです。
いいかえると、「国が最低賃金を払う」ということにもなりますね。

MMTはインフレを避けなければならないことから、ベーシック・インカムには否定的とされています。
ベーシック・インカムは、長期的にはインフレを招く可能性があるともされていますしね。
さらに「就業保障プログラム」の対象は公益分野にかぎるとされています。

そんなニオイもあるのですが、最低賃金を保証することで雇用を安定させるという狙いがあります。
MMTの疑問点

筆者もそこが気になっていました。
自国だけで石油などの資源をすべて調達できるのであれば、お金をガンガン刷っても問題はないでしょう。
しかし日本のばあい、石油は外国から買わなければなりません。
そして買うときに必要なのはドルなどの外貨です。
日本円をドルに換えなければなりませんが、そもそも海外の人たちが、
「日本円をガンガン刷ってるみたいだし、価値ないから取り替えません」
といいだしてしまったら、ドルは手に入りません。
すると石油が買えなくなります。
石油がなければ日本はその時点で詰みます。
そこまでいかなくても、相当な円安になってしまい、日本国内ではハイパーインフレが起こるでしょう。

日本は直接外貨を獲得しなければならなくなるため、あるものないもの外国に売りまくらなければなりません。
現在、北朝鮮がこのようなことをしており、国内の食糧が足りないにもかかわらず、外貨獲得のためにマツタケや魚類などを輸出しています。
このような状態を「飢餓輸出」といいます。

こうならないためにも、自国の通貨レートを下げないようにコントロールしなければなりません。

それを考えると、けっきょくこれまでどおりということにしかならないとは思いますね。
そもそも円を刷りまくったら、円の価値が下がるので、円を買っている海外の人たちが売りまくります。
そうなると超円安で石油価格がめちゃくちゃ上がってしまいますので、ハイパーインフレにつながってしまうでしょう。

まあ、アメリカがいきなり「ドル刷りまくります」とかやりはじめたら、世界経済混乱しますしね。
まとめ
MMTを大雑把にまとめると、以下のようになります。
・自国通貨はいくらでも発行できるから、国が自国の通貨で借金を負っても全部返せる。
・通貨がつくれる以上、そもそも税金を取る必要がない。税金を取るのは流動性とインフレ抑制が目的。
・そもそもお金を借りる必要もない。自国通貨建ての国債を発行するのは金利をコントロールするため。
・国の財政は、インフレ率をもとにして調整すればいい。インフレにならないかぎりは、いくらでも自国通貨を発行することができる。

まあ、そういうことになりますね。
ただ本当にこれをやったばあい、外国から見れば「あの国ヤバイ」と思われて、持っている日本円を売られまくるとは思います。
もしくは日本円を出されても、相当な金額でないとドルとかに交換してくれません。
そうなると超円安になって、大金を出さないと石油が買えなくなります。
日本国内の石油価格が上がれば物価は上昇し、ハイパーインフレが待ち受けているでしょう。
日本は外貨獲得のため、あるものないもの売るための飢餓輸出をはじめることになります。
日本国内は物不足になり、餓死者も出るでしょう。

「海外から見た自国通貨の価値や信用」というのが、MMTではあまり考慮されていないような気がします。
とくに日本のように、海外から資源を調達しないといけない国だと、自国通貨の価値や安全性をアピールしておかないと面倒なことになりますね。

MMTについてさらに詳しく知りたい方は、以下の書籍を読んでみるといいかと思います。