『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』は本当にひどい映画だったのかーあらすじとレビュー・評価・感想(ネタバレあり)|Netflix

2021年3月13日Netflix

dragonquest your story

『ドラゴンクエスト』シリーズの5作目『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』をもとにしたCG映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』。2019年8月に劇場公開された作品です。

なんかこれ、劇場公開後にボロクソに批判されていた作品ニャ。

批判以外にも、主人公の名前がリュカだったことから、ドラゴンクエストのノベライズを手掛けていた作家・久美沙織氏から訴えが起こりました。

相談もなく小説の主人公の名前を使い、映画のクレジットにも名前を入れていないという状況ですね。

ようするに名前の無断使用なのニャ。

いろいろな意味で問題作となっていた映画ですが、筆者は今回Netflixで初めて観ました。

とりあえずあらすじとレビュー、実際にいわれているほど内容がひどかったのかを述べていきます。

 

あらすじと感想(ネタバレあり)

ストーリーはゲームのほうとおなじく、主人公(リュカ)の子ども時代からはじまります。かなり駆け足で話が進んでいくため、ゲームをプレイしたことのない方には意味がわかりづらいかもしれません。

基本的にゲームをプレイしていることが前提になってるニャ。

ただ映画の内容は、ゲーム版との違いはけっこう多いですね。

リュカの父親パパスが、モンスターたちの総大将であるゲマに殺され、リュカが敵に捕らわれたところで子ども時代は終わります。

それから10年が経ち、リュカは幼馴染でもあるラインハットの王子・ヘンリーとともに、モンスターたちの奴隷として重労働をさせられていました。

けっこうハードな人生を送っているのニャ。

リュカとヘンリーは隙を見て労働現場から脱出。故郷ラインハットへ帰還することができました。

ヘンリーは城にもどり、リュカはパパスのいた家へ向かいます。

パパスの家でリュカは、母親のマーサがゲマに捕らえられていることを知ります。

マーサを助けるためには天空の剣が必要なので、それをさがすための旅に出ました。

サラボナの町にたどり着き、幼馴染である大富豪ルドマンの娘フローラと再会。

ここでヒロインの一人が出てきたのニャ。

天空の剣はルドマンが持っていたのですが、ブオーンという巨大モンスターにとられてしまいました。

「ブオーンを倒した者にはフローラと結婚ことができる」とのことで、リュカは討伐に出かけます。が、負けて撤退。

撤退先の酒場で、もう一人の幼馴染であるビアンカと再会します。

ここでやっとビアンカが出てくるのニャ。

ビアンカの協力を得て、リュカはブオーンを倒し、天空の剣も手に入れました。

リュカはビアンカが好きなことに気付き、フローラとの結婚を取りやめ、ビアンカと結婚します。

映画はビアンカルートなのニャ。

やがて息子アルスが生まれます。

あれ? ゲームだと双子じゃなかったのかニャ。

本作では息子だけになっていますね。

そこへゲマが襲撃してきて、ビアンカは捕らえられ、リュカは石にされてしまいます。

アルスは、パパスの従者であるサンチョが連れて逃げました。

8年が経ち、成長したアルスはリュカの石化を解きます。

そしてリュカから受け取った天空の剣を装備し、ともにゲマ討伐へ向かいます。

ビアンカを救い出すも、ゲマは捕らえていたリュカの母親マーサを殺してしまいました。

マーサの力を手入れたゲマは、魔界の門を開きます。

ここで急に、リュカ以外のキャラクターの動きが止まってしまいました。

魔界の門からあらわれたのはコンピューターウイルスで、これまで起こった出来事はすべてドラゴンクエストのVRゲーム内の話だということが明かされます。

急にメタな話になったのニャ。これが批判の元凶なのニャ。

まあ、わざわざ映画館へ観に行った人にとっては、こういう展開はいらなかったとは思いますね。

最初から最後までドラゴンクエストの世界で終わってほしかったというのもあるでしょう。

主人公のリュカですが、じつはVRゲームをプレイしている現代社会の青年だったのです。

ゲームプレイ中は現実世界の記憶を失うようになっているみたいですね。

そのゲーム、かなり危険なのニャ。

コンピューターウイルスは、ドラクエ世界のキャラクターたちを破壊しはじめます。

そして「ゲームなどくだらん。大人になれ」みたいな説教を垂れてきます。

なんで映画館行ってそんな説教聞かされなきゃならないのニャ。

リュカは「ゲームはおれのもう一つの人生だ」みたいなことをいって反論

そして仲間だったスライムのスラりんがじつはアンチウイルスプログラムだったという展開で、やけに野太い声でリュカに指示をあたえながら、尻からロトの剣を排出

この剣を使ってリュカはウイルスを倒し、世界がよみがえってめでたしめでたしで終わります。

もうなにいってるのかわからないニャ。

自分でもよくわかっていませんが、実際先ほどいったとおりの内容だったりします。

ちなみにコンピューターウイルス出現からラストまでの怒涛の展開ですが、たった10分間ほどで展開されています。

すごい駆け足感ニャ。

 

けっきょくなにが悪かったのか

じつは仮想世界だった」というのは、「じつは夢だった」という「夢オチ」とおなじレベルの、いまさら使ってはいけないストーリー展開の代表みたいなものです。

使い古された手法なのニャ。

ただ使い古されたものだとしても、見せ方によっては許容されます。

映画『マトリック』も仮想世界を舞台にした物語ですが、仮想世界だったと明かされるのは物語の中盤あたりで、ストーリーにきちんと絡んでくるようになっています。

またそれまでの伏線もきっちり張っており、観客が無理なく展開についていけるようになっています。

いっぽう本作では「理解できる伏線」が足りないのも問題です。

あれ? この世界、なんかおかしいぞ」みたいなのを徐々ににおわせていく手法ですね。

最後の10分間怒涛のネタ晴らしをするのが不評の原因なのニャ。ついていけないのニャ。

驚きのあるどんでん返しならまだよかったのですが、陳腐化してしまっている「仮想現実オチ」だといまさら驚きようもなく、かわりにドラクエ世界に没頭していた観客からの怒りを買う結果になったのだと思います。

ドラクエの世界を観に来たのに、いったいなにを観せられているのかと思ってしまうニャ。

ゲームは無駄なものではない」という主張も、いまの時代であらためていうほどのことでもないかなという気もします。

目新しい主張でもないのニャ。そもそもいまは年配の方でもスマホでゲーム遊んでるのニャ。

知人で80歳近くの方がいますが、スマホゲームに課金してガチャ回してますしね。

それぐらいの年だと、逆に深みにはまりそうニャ。

とりあえず気になる方で、Netflixを契約している方は、観てみるといいかと思います。