「遺伝と環境」どちらの影響が強いかー三つ子を使った人権無視の実験をドキュメンタリー映画化『Three Identical Strangers』|Netflix
『Three Identical Strangers』は、2018年に公開されたティム・ウォードル監督のドキュメンタリー映画です。
日本の題名は『まったく同じ3人の他人』、もしくは『同じ遺伝子の3人の他人』といいます。

この映画では、偶然出会ったそっくりな2人が、じつは養子縁組で引き離されていた双子だったということで話題になり、さらに3人目もあらわれたという実際の事件をもとにしたドキュメンタリーです。

養父母たちもこの事実を知らずに、3つ子を引き取っていたのです。
そしてのちにわかることですが、3つ子たちは「遺伝と環境」どちらの影響が強いかを実験するために、異なる3つの家庭に養子に出されていたのです。

今回は『Three Identical Strangers』のあらすじ・レビュー・感想をお送りします。
『Three Identical Strangers』のあらすじと感想
1980年、大学に入学したばかりのボビーは、なぜか学生たちから知り合いのように話しかけられていました。
どうやらエディという休学中の学生に間違えられていたようです。
エディの友人マイケルは、ボビーがエディそっくりで、しかも誕生日までおなじだったので、「きみには双子の兄弟がいる」といって、エディの家へ連れていきます。
エディに会ったボビーは、もう一人の自分がいることに驚きました。
二人とも養子であり、養子縁組の業者もおなじだったことから、双子の兄弟だと知ります。
この偶然の出会いは地元の新聞社にとりあげられ、またたくまに多くの人に知られるようになります。

ニュースが広まると、さらにデビッドという、ボビーとエディにそっくりな青年があらわれます。
こうしてボビーとエディは、自分たちが双子ではなく、三つ子であることを知りました。
3人の家庭ですが、全員姉がいて、年齢もおなじです。
ただ家庭環境は違い、上流・中流・ブルーカラーと別れていました。

やがて3人はテレビにも出演し、有名人になります。
そして、自分たちがピーター・ヌーバウワーという精神科医の実験のために、3つの家庭に引き裂かれたことを知ります。

それ以外にも、三つ子の母親に精神疾患があったことから、子にそれが引き継がれるかといった実験も兼ねていたようですね。

まず三つ子ですが、まったく違う環境で育ったにもかかわらず、全員レスリングをやっていて、中華料理が好きで、おなじ銘柄のタバコを吸っていました。

三つ子以外でも、双子の姉妹で同様の実験がなされていました。彼女らはどちらも元新聞委員で、映画学校の出身。うつ病を患っていた時期があるなど、似たような人生を歩んでいました。

養子縁組の業者ルイーズ・ワイズが、実験に対してけっこうな数の養子縁組をおこなっていたようですね。
しかし予算不足により実験は中止。ヌーバウワー医師の死により、実験データは2066年まで閲覧禁止になります。
そしてなんのためにこの実験がおこなわれたのか、目的はなんなのか、ヌーバウワー医師の背後になんの組織が動いているのかは、いまでも不明です。

三つ子ですが、いっしょにレストラン経営をはじめました。
最初は仲良くやっていたものの、経営方針の違いから、だんだんと仲たがいするようになりました。
そしてボビーが去り、エディは躁うつ病になって自殺してしまいます。

他の2人に問題はなかったので、家庭環境によるところも大きかったのでしょう。
エディの父親は厳しい人だったのです。

「なんでも完璧にこなさないと怒られる」みたいなのが習慣づいてしまうと、失敗が怖くなって心が病みやすくなりますしね。
遺伝か環境か
本作の結論としては、「人の一生は環境によるところも大きく、遺伝だけでは決まらない」というところで落ち着いています。
ただ、違う環境におかれたにもかかわらず、おなじような考えや好みを持つというあたりは、遺伝がいかに強いのかをあらわしています。
人は遺伝子によってコントロールされているということが、あるていど証明されてしまった実験ともいえるでしょう。

ただ環境も人にあたえる影響は大きいです。
貧しい国や戦乱の時代に生まれたら、その時点で行動はかなり制限されますしね。

そうですね。
本作においても、環境次第では自殺は防げたかもしれません。
人は遺伝子を変えることはできませんが、環境を変えることはできます。

本作はNetflixにありますので、興味のある方は観てみてください。